私が月齢伐採に巡り合ったのは2003年の9月、オーストリアの営林に携わるエルヴィン・トーマさんが来日、講演をされた時でした。
その内容とは
「月が欠けていく時に木を切ると、虫がつきにくく永持ちする」というものでした。
当時まだ一般的な方法で素材業を営んでいた私には、この講演を聞き、思い当たる節がありました。同じ山の木でも、全体の半数はキクイムシの被害に遭い、もう半数は無事ということに「おかしい」と感じていたのです。
そこで、「月が欠けたときに木を切る」という教えを試してみると、面白いことに
新月の前はカビない。満月だとカビる。
新月の前はキクイムシに食われないのに、満月の前では食われてしまう。月の半分でまったく違う結果が出ました。
さらに、この結果をもっと数値的に証明したいと思い、京都大学の先生に養分を調べてもらったところ、満月前と新月前では、新月前には無くなっている養分(でんぷん質)が、満月前では残っており、それが虫やカビの原因ではないかということがわかったのです。
私は、昔の人々が行ってきた月齢伐採・葉枯らし・天然乾燥のすばらしさを改めて実感し、これが自分のやるべき仕事だと確信を持ちました。
私たちの用意する木材は、良質な素材であるということはもちろん、さらに、実際に使用するエンドユーザーが安心できるよう、伐採した瞬間から木1本1本の情報を電子データで徹底管理する
「木のトレーサビリティ(追跡)」を行っています。また、材料を扱うだけではなく、実際にお客様に山に入って伐採や植林を体験し、理解を深め、付加価値を付けて買っていただくことで、また山に利益を還元する…こうした山の荒廃を防ぐ活動も行っています。
私たちの材料を使ってくれた人が喜んで、お礼を言ってくださる…そのことが、この仕事をますます充実したものにしてくれています。
ぜひ、皆さんも山や工場に遊びにきて私たちの仕事をじっくり見ていってください。お待ちしています。

天竜T.S.ドライシステム協同組合理事(榊原商店代表) 榊原正三
《天竜T.S.匠の会パンフレットより》
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